
三重県鈴鹿市飯野寺家町と西條町境にある戦国時代の「沢城跡」で、市が昨年5~11月に実施した発掘調査で、かわいい犬の土製品が出土した。しっぽを巻いて耳が垂れ、子犬みたいな体つきをしている。高さ3・5㌢の小さな置き物風。土師器(はじき)のように低温で焼いたとみられる。さて、この犬の用途は。
犬といえば、安産や多産の象徴とされ、現在も「戌(いぬ)の日」に、妊娠した女性が腹帯を巻き、無事に出産できることを願う風習が残っている。市の担当者は「安産祈願に使われたのではないか」と推測する。同じような犬の土製品の出土は県内で25例ほどあり、脚が折れた状態で出てくるケースが目立つという。古代から馬などの土製品を壊して魔除けにすることが知られており、こうした「辟邪(へきじゃ)」が目的との説もある。3月22日から鈴鹿市国分町の考古博物館で始まる「速報展 発掘された鈴鹿」で公開する。6月15日まで。

【沢城跡に建つ石碑】
沢城は1367(正平22)年、湿地帯に築かれ、神戸(かんべ)氏が200年近く一帯を治める拠点にしていた。織田信長が伊勢の国を支配下に置くため、3男の信孝(1558~83年)を神戸氏の養子に入れ、拠点は現在の県史跡「神戸城跡」に移った。沢城は石垣のない中世の城で、「むめ」「かく」と墨で文字が書かれた土器や、館跡が見つかっている。発掘調査は住宅建設に伴って実施。現地には付近が城跡であることを示す石碑が建っているものの、近年、会社事務所や飲食店、住宅の建設が増えている。(酒井直樹)

【沢城があった鈴鹿市飯野寺家町、西條町付近】

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