「不当な要求は、暴力団員など反社会的勢力でなく、住民が行なうことが多くなっている」として、三重県鈴鹿市は、市民による迷惑な行為に対抗するため「カスタマーハラスメント(不当要求行為等)対応マニュアル」を作り、職員向け研修を始めた。4月からはフルネームで記されてきた職員の名札を、ひらがなの姓だけの表記にする=写真。

かつて鈴鹿市では、職員が生活保護受給者の過剰な要求に応じて、通院時のタクシー代など保護費の不正受給事件が発生。市民による公務執行妨害の疑いが持たれる行為や暴言などに対応するベテランの県警刑事部OBも配置されている。しかし、市が一昨年4月に実施した職員アンケートでは、回答者約1000人のうち6割近くがカスタマーハラスメント(カスハラ)を受けたことがあると答えた。このため「職員が精神的に疲弊(ひへい)し、事務に支障が出る」として、マニュアルを作ることにした。
マニュアルでは、「(入札の)予定価格を教えろ」「(元請け業者に対し)〇〇を下請けに使うよう指示しろ」などと具体例を示しながら、職員に違法、不当なことをさせることが不当要求行為と定義。職員に組織的な対応と、法的措置も視野に入れることを求めている。一方で「正当な苦情は住民の権利であり、課題解決や行政サービスの向上につながる」ともしている。2月には弁護士が講師となり、課長ら70人余りが研修を受けた。今後も各課員に対象を広げて研修を続ける。
4月からは、職員の名札の表記を変更。15階建ての市庁舎の各階に張り出され、職員のフルネームと座席の配置が記された表示も変え、姓名が特定されないようにする。ほかにもマニュアルでは、具体的な対応方法を記した。交渉時間のめどは1時間、同じ話の繰り返しなら30分、2人以上の相手より多い人数で対応、課長までの担当者で応対し幹部に対応させないなどを挙げている。(酒井直樹)

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