写真や古文書、文化財をネットで公開 三重県鈴鹿市が郷土資料をデジタルアーカイブ化 2次利用も可能

 三重県鈴鹿市が所蔵する伊勢型紙や古い写真、古文書などについて、市はIT(情報技術)を使った記録「デジタルアーカイブ」にし、4月1日、インターネット上で公開を始めた。自由に利用が可能。全国の博物館や大学などが連携し、国立国会図書館が運営するデジタルアーカイブ「ジャパンサーチ」からも検索できるようにした。準備期間の2024年度と、本格的に運用する25年度で計800万円余りかかる見通し。全額を公益財団法人「図書館振興財団」(東京)の助成金で賄い、「みんなの郷土資料室デジタルアーカイブ(スズカ・デジタル・ミュージアム)」と銘打った。

 江戸時代、紀州藩領だった鈴鹿市白子(しろこ)、寺家(じけ)地区は、着物の図柄を染めるための「伊勢型紙」の一大産地で、藩の保護を受け、ほぼ全国の需要を賄った。市は1万点以上の型紙関係資料を所有。昭和時代中頃から平成初めにかけ、伊勢型紙を彫る人間国宝も活躍し、こうした型紙2000点余りの写真を載せ、今後、デジタル化して順次、公開していく。

 【「みんなの郷土資料室デジタルアーカイブ」で公開された人間国宝の伊勢型紙】

 市は明治時代から現在に至るまで多くの写真を所有しており、このうち110点近くを公開した。地元には戦前から多くの軍事施設が立地し、軍部が主導して1942(昭和17)年に14町村が合併して鈴鹿市が誕生した歴史があり、鈴鹿海軍工廠(こうしょう)や鈴鹿海軍航空基地などを中心に、古い写真を公開した。

【近鉄白子駅の西口ができた当時のモノクロ写真。「みんなの郷土資料室デジタルアーカイブ」から=1964(昭和39)年】

 このほか市が2013年に刊行した市民からの聞き取り「鈴鹿の記憶ー戦中・戦後の証言と資料」(482㌻)も電子ブック化して、掲載写真や年表も併せて公開している。

【「みんなの郷土資料室デジタルアーカイブ」で電子ブック化された「鈴鹿の記憶」】

 いずれも国史跡で奈良時代の「伊勢国分寺跡」(国分町)、「伊勢国府跡」(広瀬町)といった市内の文化財110件の写真と説明や、古文書5000件の目録なども載せた。自由に利用でき、研究者や学校の授業での活用など、幅広い利用が見込まれる。市文化財課の担当者は「古い写真を見ることで認知機能の維持、向上につながり、高齢者施設での活用も考えられる」と話す。

 現在、デジタルアーカイブ化されたのは、郷土資料室に保管されている5万点以上の史料のうち、14・5%に当たる7200点余り。「人海戦術」で行っており、すべての史料をいつ公開できるかは、見通せないという。(酒井直樹)

【デジタルアーカイブ化する史料の整理=鈴鹿市役所西館の郷土資料室】

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