ブドウを生産販売 栽培の「空白地帯」の三重県鈴鹿亀山地区で 生育環境を完全管理

 これまでブドウが本格的に栽培されてこなかった三重県鈴鹿市で、2軒の農家が大粒の人気品種「シャインマスカット」「クイーンニーナ」を生産し、夏から秋にかけ大手スーパーを通じて販売している。ブドウの産地といえば、山梨県や長野県が全国的に知られ、三重県内では名張、伊賀両市で古くから栽培されてきた。しかし、涼しい気候で水はけの良い土壌が適しているブドウは、黒い酸性の腐植土「黒ボク」の畑が多い鈴鹿市では育てるのが難しく、「農産物」として取り組む農家がいなかった。どうやって「商品」として出荷までこぎつけたのか。

 この農家は、いずれも農村部の鈴鹿市西部地区の「福光園」(石薬師町)を経営する福田和央さん(47)と、「鈴鹿の七樹(ななき)」(追分町)に勤務する加藤諒さん(36)。雨の影響を受けないビニールハウス内で、ブドウの生育に合った土壌を盛り上げ、苗を植えた。根が張る範囲を一定に制限することで、水やりや肥料を完全に管理できる「根域制限」という果樹やトマトで導入例が増えている栽培技術。苗は、国の農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨木県つくば市)が開発して品種登録し、高い販売価格が見込める「シャインマスカット」と「クイーンニーナ」の2品種を選んだ。福光園は6年前から10㌃で95本、鈴鹿の七樹は5年前から5㌃で60本を栽培。県農業改良普及センターや地元のJA鈴鹿も支援し、数年前から計6000房近くが安定供給できるようになった。県内のイオン系スーパーや、鈴鹿亀山地区のJAの農産物直売所「果菜彩(かなさい)」で販売している。「鈴鹿ぶどう」と記された化粧箱入りの2房が5000円ほど、1房で約2000円。20度という高い糖度や色つやの良いブドウの生産が期待できるという。しかしビニールハウスなどの初期投資費用がかかるので今後、急激に生産は拡大しないものの、徐々に大規模な専業農家の間で増える可能性もある。

 2025年8月13日には、農家の福田さんや加藤さんらが市役所を訪れ、末松則子市長にPR=写真。福田さんは冬場が旬のイチゴ栽培の「裏作」として取り組み、加藤さんは茶や多肉植物と並ぶ新たな経営の柱として位置付けていることを説明した。JA鈴鹿管内の鈴鹿市、亀山市では4軒の農家がブドウを栽培している。

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