地元が要望し三重県鈴鹿市がようやく無形民俗文化財に指定 長太の天王祭

 三重県鈴鹿市北長太(なご)地区に江戸時代から伝わってきた「長太の天王祭」が2026年3月中に市の無形民俗文化財に指定される見通しとなった。地元が文化財指定を要望したが、14年間、「たなざらし状態」(地元関係者)だった。文化財に指定するかどうかを専門家が話し合い、非公開の3月2日の市文化財審議会で事実上、指定する方針が決まっていた。

 天王祭は、病気にならないよう願って、各地の神社で催されている夏場の祭り。伊勢湾沿いの農漁村の長太地区では、400年近く前の江戸時代初めから受け継がれてきたとされる。3町内(馬場、四ツ谷、中瀬古)から豪華な山車(だし)計3台が繰り出し、地元の飯野神社境内に集結。ちょうちんをつるした長さ10㍍のさおを山車の上に立て、高さ3㍍の山車の上で、獅子舞を演じるのが見せ場となっており、大勢の見物客でにぎわう。

 文化財に指定するかどうか、なかなか結論が出ないため、昨年6月の市議会一般質問で地元議員が「長年にわたり、放置は(するべきことをしない)『不作為(ふさくい)』だ」と市側を追及した。その後、地元と市側が協議し、長太の天王祭を続けていくための保存会を結成するなどした。関係者によると、山車の上で演じる獅子舞のルーツが明確でないことや、危険な場面があったことがネックだったが、安全策を講じるという。

 文化財行政は教育委員会が担当する自治体が多いが、鈴鹿市の場合、市が所管している。文化財審議会は各分野の専門家らでつくり、市の文化財を指定する際、妥当かどうか意見を述べ、実質的に文化財指定に関する「決定権」を持っているものの、議題やどんな協議をするかは、審議会事務局の市が大きく関与している。

 【山車から落ちるしぐさをする獅子舞関係者】 

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 鈴鹿市は3月19日付で、「長太天王祭の山車行事」として無形民俗文化財に指定した。文化財指定理由書によると、1590(天正18)年、長太地区で伝染病が広がり、住民が疫病よけで知られる津島神社(愛知県津島市)に参拝したことが祭のきっかけ。豊臣秀吉が天下統一をした年に当たる。獅子舞も祭の要素の一つと位置付けたが、安全性を確保するよう求めている。26日発表した。

 3月の文化財審議会では、住民が文化財指定を申請した加佐登(かさど)町の「綺宮(かんはたのみや・きのみや)遺跡」についても話し合われた。複数の関係者によると、市側が準備した資料に不備があり、保留になったという。綺宮は、この地で亡くなったとされるヤマトタケル(日本武尊)をしのび、父の第12代・景行(けいこう)天皇が1年近く滞在したとの言い伝えが残り、「日本書紀」に登場する。現地には昭和初めに建てられた碑が建っているが、発掘調査は手つかずのまま。天皇が実在したとすれば、「謎の四世紀」「空白の四世紀」とされる時代に当たる。 

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