
(二科会写真部会員の坂尾富司さん撮影)
馬の着ぐるみに砂を浴びせて豊作を願う奇祭「馬の砂かけ」が9日夜、三重県鈴鹿市甲斐町の夜夫多(やぶた)神社であった。鈴鹿川沿いの米どころで受け継がれてきた早春のユニークな民俗行事。境内には、田んぼに見立てた砂場が設けられ、大勢の見物客が詰めかけた。農耕馬が登場すると、大きなしゃもじのような道具で砂をすくって、馬に投げつけ、歓声が上がった。飛び散る砂は、恵みをもたらしてくれる雨を意味するという。
地元の女児5人が早乙女姿となって苗を手植えしたり、男衆たちがクワで耕す動作を披露したり。この地方では昭和時代の中頃まで行われていた昔の田植えのしぐさを演じた。神社は約1100年前の平安時代中期にまとめられた「延喜(えんぎ)式神名帳」にも記され、古い歴史を持つ。勝田真人宮司(79)によると、神社ができて以来、続く行事という。
農作業が本格化するのを前に、五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈って各地の神社で行われる御鍬(くわ)祭の流れをくむとされる。この地方の農耕用には、かつて牛が多く使われ、馬は珍しい。(酒井直樹)

手植えのしぐさをする早乙女姿の女児=二科会写真部会員の坂尾富司さん撮影

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