三重県鈴鹿市は2025年9月4日、生活困窮(こんきゅう)者が生活保護を申請する際、財布の現金をすべて箱に出させて点検しているのを見直して、週明けの9月8日から、いくら持っているか「自己申告制」にすると発表した。この問題を巡っては8月30日、全国の新聞社とNHKでつくる共同通信が「【独自】生活保護申請時に財布の中身確認 三重県鈴鹿市 1円単位で」という見出しの記事を配信し、加盟社の地方紙やスポーツ新聞がネットで速報。翌日の朝刊では東海3県でトップシェアの中日新聞が大きく取り上げ、一部テレビ局もニュースを流した。市は「一連の報道によって反響が大きく、経過を説明することにした」としている。
見直しのきっかけは、今年6月の市議会一般質問で高橋さつき議員(共産)が、市の生活保護を担当する保護課の窓口対応が問題だと追及したこと。「箱の中に財布の中身まで出させて(申請者と市職員が)一緒に金額を確認するのは、申請者の尊厳を傷つけ、屈辱的」と指摘。申請するのをためらわせることにつながり「申請者を見下している」として「近隣の四日市市、津市、亀山市のように自己申告制にすべきだ」と見直しを求めた。市の生活保護行政は厚生労働省と県が強い指導、監督の権限を持つ「法定受託事務」だが、財布の中身を実際に見て手持金を確認することは規定がなく、市独自の判断で長年、行われてきた。生活保護法に基づき、生活や住宅、医療などに公金の支出が必要かどうか、市が申請者に対して実施する資産調査の一環で「30年はやってきたはず。(今となっては)『昭和的』なやり方」という市OBもいる。
6月の市議会一般質問で、市側は「手持金を正確に把握することは必要」と財布の現金チェックを正当と主張したが、8月27、28日になって他の県内13市の状況を調べた。ほとんどが、こうした確認方法はしていなかったみられ、「自己申告制」に改めることを決めた。厚労省や県、市上層部から指示はなく、現場レベルを中心に見直しの方針を練り上げたという。財布の現金を箱の中に出させる行為について、市の担当者は現在、本当に効果のある方法かどうか疑問視している。8月末の「一連の報道」を受け、市にはメールや電話で多くの意見が寄せられ、「人権侵害だ」という批判の声や、「よくやっている。今後も続けるべきだ」と擁護する意見もあったという。9月8日からは、申請者自身が財布の中身を確認したうえで金額を資産申告書に記入する方法に変更する。
鈴鹿市の人口1000人当りの生活保護受給者の比率、受給率は7月現在、6・4パーミル(1パーミル=1000分の1)。県平均の9・1パーミル、県内の市部平均9・5パーミルを下回っている。生活保護受給世帯が市を相手取り、通院に使う自動車を保有していたとして、市が生活保護を打ち切ったのは違法として2件の訴訟も起こされ、5月と7月には市側の敗訴が相次いで確定している。「厳しく、申請時に絞り込んだり、受給を打ち切ったりしている」と見る向きがある一方で、地元は昭和30年代に大手自動車メーカーが進出して人口が急増するなどした歴史があり「市の産業構造などからすると、妥当な生活保護受給率」という声もある。市の担当者は「(生活保護を巡る2件の)裁判が終結したので今後、見直しを進めたい」とするが、具体的にどんな生活保護事務を見直すのかは明らかにできないという。

【生活保護の窓口がある鈴鹿市役所本庁舎】
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